穢翼のユースティア/大図書館の羊飼い/千の刃濤 桃花染の皇姫【AUGUST】【エロゲ】
記念すべき第1回目となるエロゲ備忘録です。
第1回目の今回は、どれをとっても一定以上のクオリティを持った作品を作り出すブランド「AUGUST(以下オーガスト)」の3作品を取り上げたいと思います。
※基本ネタバレはありません
「大図書館の羊飼い」
「千の刃濤 桃花染の皇姫」
の順に書いていきます。
1.穢翼のユースティア
オーガストから2011年に発売された作品です。コンシューマー版も発売されているので、エロゲはやったことなくても知っているという方も多いのではないでしょうか。
あらすじは以下の通りです。
《ノーヴァス・アイテル》は、かつて人間が神に見捨てられ、世界が混沌の濁流に飲み込まれた時、聖女イレーヌが神に許しを請い、それを受けいれた神によって空に浮かせられた都市である。以後数百年、代々引き継がれた聖女イレーヌの力によって、この浮遊都市は守られてきた。《ノーヴァス・アイテル》には貴族が住む上層と、民衆が住む下層の2つの区域があった。
10数年前、《終わりの夕焼け(トラジェディア)》と呼ばれる光が天蓋を覆い、《ノーヴァス・アイテル》の下層の一部が地盤沈下した。後に《大崩落(グラン・フォルテ)》と呼ばれるこの悲劇では多くの人々が死に、生き残った人々の生活も激変させた。地盤沈下した区域は後に「牢獄」と呼ばれるようになる。牢獄の周囲は断崖絶壁となり、他の層とは容易に行き来ができなくなった。
国が《特別被災地区》として見放し、無秩序状態に陥った牢獄で、ボルツ・グラードは《不蝕金鎖》(ふしょくきんさ)と呼ばれる組織を作り、下層との物資をやり取りする仕組みを作って物流を独占した。そして手をこまねくだけの取り残された役人に代わって規律を作り、復興に尽力することによって、牢獄の事実上トップの組織となった。今でも《不蝕金鎖》は牢獄を支えている。
かつて《不蝕金鎖》で暗殺者として働いていたカイムは、今は娼館街の何でも屋として生きている。ある日、ボルツの息子で《不蝕金鎖》の頭であるジークフリードから依頼を受け、上層から売られた女性たちを連れて牢獄へ向かう馬車を迎えに行ったが、そこで見たのは女性たちの惨殺死体であった。その中で1人だけ生きていたのは、背中に羽が生える羽化病に罹患した少女ユースティアであった。(Wikipediaより引用)
これを読めばわかるように、非常に退廃的な世界観です。
こんな暗い世界観とべっかんこう氏の萌えチックな絵のイメージはちょっと離れている気がしますが、それも当然の反応です。
そもそもオーガストは甘い平和的な世界観の作品を作ってきたブランドですので、そういう作品にはべっかんこう氏の絵はまさにピッタリです。
しかし、この「穢翼のユースティア」はまったく平和的ではありません。
そりゃ探せばもっと退廃的な作品はいくらでもありますが、これをオーガストが手掛けたと考えると非常に異彩を放っていたと思います。
この場面は序盤の山場の1つなのですが、CGが美しいですねぇ。
メインヒロインが血を流している重いシーンですが心から美しいと思わされます。
ちなみに僕が好きだったヒロインはこのフィオネ・シルヴァリアちゃんです。
ヒロインの中では武闘派に当たりますが、中盤以降の出番が少なかったのが残念でした…。
総括すると「穢翼のユースティア」は…
・萌えをウリにしてきたオーガストによる異色の作品
・バトル要素も魅力の1つに入っている
・構成も分かりやすくエロゲ初心者にオススメ
といった感じです。
2.大図書館の羊飼い
オーガストから2013年に発売された作品です。こちらもコンシューマー版が出ていますので非エロゲユーザーの方でも知っている方がいるのではないかと思います。
あらすじは以下の通りです。
学生数5万人、教職員8000人を数える国内有数の学校法人「汐美学園」。数多くの学生寮、各種スポーツ施設はもちろん、カフェレストランから路面電車まで備える充実ぶりで、特に「大図書館」は国立図書館に次ぐ規模と言われている。筧京太郎はここ大図書館で、幽霊部員だらけの「図書部」に所属し、1人でゆったりと本を読んでいた。
4月。どんな願いでも叶えてくれることで有名な謎の羊飼いから「今日、貴方の運命を変える出来事があるでしょう」というメールをもらった筧は、白崎つぐみと知り合う。友人の桜庭玉藻と共に学園をもっと楽しくするための活動を始めていたつぐみは、玉藻や筧の友人・高峰一景と共に図書部へ入部する。生徒からの相談を受け付け、悩みを解決することで学園を楽しくしようという活動を通じ、鈴木佳奈と御園千莉も入部した。コスプレによるビラ配りで知名度を上げた図書部は多数の依頼を受けるようになり、図書委員の小太刀凪からの注意を受けつつ、6月には独自のイベント「ミナフェス」を成功させた。図書部の6人は何れも羊飼いから同様のメールを受け取っていたことから、活動と並行して羊飼いの謎を追っていたが、京太郎だけがついに正体を突き止めた。
そして7月。図書部の活動を通し、筧は特定の女性の悩みと付き合い、深く触れあうようになる(Wikipediaより引用)
こちらは「穢翼のユースティア」とは正反対ともいえるほど、平和的な学園モノの日常系エロゲです。
甘々な萌えに徹した作風ですので、シナリオより萌えを重視したいという方にはピッタリではないでしょうか。
大体この6人が主要メンバーなのですが、いかにも平和っ!って感じですね。
こちらがパッケージヒロインにもなっている白崎つぐみちゃんです。
図書部の理念的大黒柱となっている天使キャラです。
プレイヤーを萌えさせてくれます。
こちらは人気投票で見事1位に輝いた鈴木佳奈ちゃんです。
メインヒロインの中では比較的シナリオに重きが置かれていた子ではないでしょうか。
一見誰とでも明るく接することができるキャラですが、それがそうとも限らない…というわけです。
総括すると「大図書館の羊飼い」は…
・本来のオーガストが得意とする、萌え重視の日常系エロゲ
・シナリオこそ陳腐になりがちだが、キャラモノとしては良作
と言った感じです。
3.千の刃濤 桃花染の皇姫
オーガストから2016年に発売された作品です。オーガストの2017年現在の最新作ですね。
あらすじは以下の通りです。
安寧の日々は灰燼に帰した―
黎明から二千年、一系の皇帝により統治されてきた皇国は夷荻(いてき)の手に落ちた―
当たり前だったものが、次々に崩れゆく毎日。
時代の奔流に弄ばれながらも、人々は逞しく未来を探し続ける。たった一人残された帝位継承者≪宮国朱璃≫は力を求めていた。
仇敵を排除しこの国を取り戻さねばならない。
過去を失った武人≪鴇田宗仁≫は主を求めていた。
鍛え上げられた白刃は、忠義のために振るわなければならない。その日、
運命に導かれ、二人は出会う。
往く末にあるのは失意か祝福か、答えを知る者はどこにもいない。(オフィシャルガイドブック2014年夏号より引用)
平和的とも退廃的ともいえない中間的な重さの作風です。
明の崇禎帝と清の順治帝の交替期のようなシナリオですね。
主人公が反清復明側、という感じでしょうか。
一応、夷荻(いてき)に支配されて弾圧されているという設定ですが、実際にプレイしてみるとそこまで暗い世界観ではありません。
国家奪還を目指して敵国に立ち向かうという王道ともいえる設定です。
王道だからと言ってありきたりなわけではありません。王道には王道たる理由があるんです!byケロQ
実際の敵は見えないところにあったりと、終盤から一気に話が転換していきます。起承転結でいう「転」が見事でした。
基本ネタバレはしないという前提ですので、あとはできればご自分でプレイしてほしいです。
こちらがメインヒロインの宮国朱璃です。
最新作とだけあって、それまでのオーガストのCGの美しさを凌ぐ美しさですね。
まさに珠玉の一枚(二枚ですが)と言えると思います。
こちらが僕のお気に入りの椎葉古杜音ちゃんです。
立場は「斎巫女」という厳格な設定ですが、実際の古杜音は明るく奔放な性格をした明朗なヒロインです。
個人的にこのCVを務めている小鳥居夕花さんの声がドストライクですので、好きなところばかりです。一般アニメでも活躍なさっていますのでもしかしたら聴けばわかるかもしれませんね。
総括すると「千の刃濤 桃花染の皇姫」は…
・一見重苦しい世界観だが、実際はそうでもない
・オーガスト史上最上のクオリティを誇るCGの数々
・「転」が見事な、分かりやすくも魅力的なシナリオ
・古杜音がかわいい
といった感じです。
以上3作品が僕がプレイしたオーガスト作品です。
どれも一定以上のクオリティを誇る作品の数々ですので、エロゲ初心者にオススメなブランドといえるのではないでしょうか。
3の「千の刃濤 桃花染の皇姫」以外は、非18禁のコンシューマー版も発売されていますので、やってみたいけどエロゲはちょっと…という方はVita版をやってみてください。まぁそもそもオーガストはほとんど抜けないのでエロゲである必要は皆無に等しいですが。
それでは、また逢う日まで…
(追記)
次回は「沙耶の唄」について書きたいと思います。